1月18日 ゼミ日誌

15期の行本です。15期にとって最後のゼミです。(私は2年間ご迷惑をかけっぱなしで申し訳ありません。)

今日は6人卒論発表で、私もその一人でした。
私はプレゼンに自由がきくなら、話す内容を聞き手の具合に合わせることがあります。聞き手と意思疎通できてない時は「要するに」とまとめたり、今集中してくれてるなと思ったら一気にプレゼンの肝までもっていったりします。
今回、話に緩急をつけたくて、ちょっとした笑いを入れました。反応なし。滑ったな、と思いつつもう一度トライすると、気づきました。ゼミ生は笑ってくれていました。
うつむいて。
果たしてうつむいて笑わせるプレゼンは良いものなのか疑問ですが、コメントペーパーを見る限り楽しんでくれていたようです。ポジティブに行こうと思います。

1.古川くん
テレビドラマの通時的分析 ―日本の家族像の変化を辿って―
【問い】 テレビドラマに描かれる家族像はどのように変遷してきたか、また、描 かれた家族像は現実の社会を忠実に再現しているか、それとも理想を 映し出しているか。
【答え】
①1950年代〜1970年代半ば 現実の生活から失われてきた大家族の団欒という理想が描かれる。
②1970年代半ば〜1980年代 互いにバラバラになり幸せが失われていく現実の家族が描かれる。
③1990年代〜 家族同士の絆の復活という理想が描かれる。
古川君は入ゼミの当初からロジックを組むことがすごく上手で、ひそかに尊敬していた方です。普段何気なく見ているドラマ作成の舞台裏を知れて、興味深かったです。

2.はやちゃん
茶店と日本社会 〜雑誌からみる役割の変遷
【問い】 戦後、日本社会において喫茶店とその役割(消費のされ方)は どのように変化しているか。 また、日本の消費社会と比較した際に、喫茶店にはどのような 特殊性があるか。▶︎考察へ
【答え】
• 戦後〜1960年代:オーナー喫茶店 【娯楽、風俗的役割】
• 1970年代:珈琲専門店 【喫茶の役割】
• 1980年〜1990年代前半:二毛作茶店(旧) 【喫茶+α】
• 1995年代後半〜2000年代:カフェ 【喫茶+α】
• 2010年以降:二毛作喫茶(新) 【喫茶+α+β】
カフェでのバイト経験を生かした卒論を書いているはやちゃん。最近はスターバックスを、仕事や勉強の場として長時間使うことに不満の声が上がっていますね。今の喫茶店のあり方は次のステージに移りつつあるのかもしれません。

3.とりっぴー
市町村名称と社会的要因との関係性 ―ひらがな自治体における名称決定理由に着目して―
【問い】
市町村名称は社会的要因とどのように関係しているか?
【答え】
①消費のネーミング重視志向に伴い、1980 年代以降地域活性化のツールとして注目されたひらがな自治 体は、平成の大合併前半までは先駆的な事例として扱われた。
②しかし、「命名行為の手段⇒目的化」により、徐々にひらがな名による地域活性化は新奇性を失い、そ の後は主に郊外地域で、地域住民からの親しみを目的とした命名が散見されるようになる。
市町村名はその町を総称する言葉になるため、慎重に選ばれるものであるが故にすごく面白いテーマだと思っていました。人名、会社名、ひらがなのブームはこれからどう移り変わっていくのでしょうか。

4.あやなちゃん
日本における PB の成長とその要因
【問い】
日本において、PB はどのように成長したか。また、その要因は何か。
【答え】
1970 年代〜1980 年代の第1次ブーム、1990 年代初頭〜半ばの第2次ブーム、2008 年以降 の第 3 次ブームを経て成長した。第1次ブームにおいては、1970 年代を中心に価格訴求を 前面に押し出した PB 商品が開発された。物価高騰の時代であったため、消費者の低価格志 向により PB が成長したと考えられる。1980 年代に入ると、消費志向が節約・合理化志向 に変化し、それに対応した機能型 PB が成長した。第2次ブームにおいては、機能訴求型や 価格品質両立型の PB が展開された。バブル破壊後の不況の中で、消費者の節約志向が進んだ一方で、両立型 PB が成長したことから小売の商品開発がその要因であると考えられる。 第3次ブームにおいては、過去2回のブームとは異なり多層化した展開がなされた。消費志 向は節約志向と上昇志向に二分していたが、品質重視型 PB の成長が大きかったことから、 徐々に上昇志向に変化したと考えられる。このことから、成長要因として小売の商品開発またはブランドの展開方法が考えられる。
PBを販売することで、他のメーカーとの関係が壊れはしないのだろうか、と疑問です。これから社会人になると、そうした社会構造がリアルに見ていけるのかと思うと楽しみです。

5.行本
女性雑誌 『an・an』 にみる現代の女性像
【問い】
女子力はこれまで語られてきた女性性とどう異なるのか、そしてその理由となる社 会背景は何か。
【答え】
戦後の女性性は、家庭性と整った外見にあった。80年代から女性の社会進出が始まったが、女性が働ける専門職以外のポジションはなかった。パートに出る主婦が増えはしたが、女性性に大きな変化はなかった。90年代には、仕事一筋か家庭に収まるか、の二択が迫られ、働く女性にかつての女性性は失われた。2000年代に入ると働く女性に失われた女性性を復古するため、従来の女性性よりさらに男性を意識した、モテるための能力である「女子力」が生まれた。女性が社会で働くための制度が整い始めた2000年代後半になると、女性が家庭性とキャリア両方を得ることも可能になったことで、男性を意識しない様々な消費や、仕事上の能力・活躍を示し、自分の満足を重視する2種類目の「女子力」が生まれた。そしてその傾向は、自分の満足を重視しつつも男性からもモテたいと危機感を抱く第3の女子力を生んでいる。

6.じゅりちゃん
立地による大型商業施設の変遷の 違い ―駅周辺の特殊性
【問い】
立地条件による商業施設の変遷の違いはどのようなものがあるか。 また、駅周辺の特殊性は何か。
【答え】
• 大型小売店の変遷には立地ごとに違いが見られる。
・特に小売業態史と大きく異なるのが、駅直結 (ターミナル型)の大型小売店は60年代以前が百貨店、それ以後が寄合百貨店が新規店舗の中心となることである
• それは、国鉄に関する法改正時期と様々な種類 の商品を短時間で求める社会の要請が強まる 時期が重なり、利便性を強く求める駅直結という 立地において最も顕著に表れたからだと考えられる
鉄道が発展した日本ならではの卒論ですね!これから交通手段に変化があると、大型商業施設の在り方も変化するのでしょうね。


前回のブログであきなは「みんな成長したなあ―」と振り返ってくれたので、私は敢えて「みんな変わらないな」と言いたいと思います。
2年経っても、ゼミ員の根っこにあるそれぞれの良さは変わっていないと感じます。違うカラーが集まってこそ、平野ゼミ15期があるのだろうなあと思います。社会人になってもそれはどうか変わらないで、またみんなで会えたら最高ですね。

何より平野先生に心より感謝申し上げます。
2年間本当にお世話になりました。幅広い分野に精通していらして、常に私たち15期を導いてくださいました。当ゼミが、温かい雰囲気を含め「在る」のはすべて平野先生がつくっていらっしゃるからです。
ありがとうございました。