7月11日 ゼミ日誌

みなさん、ご無沙汰しております。16期の岩田です。
明日のディベートの準備に追われつつも、久しぶりの日誌を頑張って書いていきたいと思います。
11日のゼミは5人分の卒論中間報告が行われました。

①「日本におけるユーモアの変遷について」(池浦)
問い:戦後日本において、メディアが発信し大衆に受け入れられてきたユーモアはどのように変化しているか(またその要因は何か)

仮説:戦後はいわゆる「ベタ」のユーモアがテレビを始めとしたメディアで多用されていた。1990年代からダウンタウンらが台頭し、わかる人だけに笑ってもらう「シュール」なユーモアが使われるようになった。しかし「シュール」なユーモアは持続性が短いため常に新鮮でなければならず、それを共有できる集団は小さくなり続けている。そしてテレビはその多様化しすぎたユーモア需要に応えられずに衰退し、それを補う形で有料チャンネルやYouTubeが台頭してきている。

先生からはストーリーはおもしろいが、それをどのように論証していくかが問題という指摘がありました。ユニークで興味深い研究だと思うので頑張って、このストーリーを論証して欲しいです。


②「日本におけるメディアスポーツの変遷について」(岩田)
問い:日本において、メディアスポーツの報道はどのような変遷を遂げてきたのか

仮説 ・モダン期はメディアが選択する評価選択基準はある程度画一的であった
   ・ポストモダン期に入ってからは、提供される物語やそれを媒介するスポーツの種類も多様化していった
   ・ただしモダン期に重視された基準がなくなったわけではなく、重層的なものとなっている

先生からは分析対象の時期区分の拡大や、メディアスタディーズの参照についてのアドバイスを頂きました。ゼミ員からも温かいコメントをもらったのでこれから精一杯頑張っていきたいと思います。


③「消費社会と地域性から見る日本のプロ野球」 (瀬高)
問い:プロ野球誕生以降、プロ野球は消費の対象としてどのような存在であったか。また、地域とのかかわりはいかなるものであったか。

仮説:第Ⅰ期(1936〜1945)において、プロ野球は低俗なものとしてごく一部の人にしか消費されず、地域性もほとんどなかった。第Ⅱ期(1946〜1957)は第二の消費社会に入る時期で大量消費が生まれる中、野球も徐々に大衆が消費するものとなっていった。第Ⅲ期(1958〜1980)には読売が全国的な球団として消費者からの指示を得た。第Ⅲ期も第二の消費社会であり、その志向と重なる一方、各地で反中央(反巨人)の色を強める球団、消費者も現れ始めた。これは地域性が強まってきたことが関係している。第Ⅳ期(1981〜)は読売の力が弱まった影響で地域密着の時代となり、地域性に基づいて野球を消費する人も増加した。第Ⅳ期は第三の消費社会だが、消費志向は第四の消費社会の地方志向を先取りしていると考えられる。

個人的には地域性をどのように客観的に示すのかが難しいように感じましたが、瀬高ならきっとなんとかしてくれるでしょう。仮説はかなり長めでしたね。


④「三井物産の採用における学歴主義」 (小竹)
問い:戦前期の三井物産における採用と出身大学はどのような関係を持つか

仮説:創業当初は、学卒者の採用は不定期かつ採用基準の明確がなされていなかったため、縁故や学歴による要因が大きかった。学卒者の定期採用に伴って採用の形式化・基準の明確化が起こり、企業戦略に合わせた採用が始まった。大学数の増加や学部の多様化は企業のニーズも満たすようになり、採用において教育の内容や社員の能力が重視されるようになった。

自分も就活をしていて、多かれ少なかれ学歴主義的なものを感じる機会もありました。その起源を突き止めるおもしろい研究にしてくれたらと思います。


⑤「谷根千の変容とオーセンティシティ」 (宍戸)
問い:谷中、根津、千駄木地域のオーセンティシティはどのように変容しているか

仮説:「地域雑誌創刊(1984)以前の谷根千のオーセンティシティとは下町情緒を残す町並みと文学史跡、高い技能を持つ職人の存在でありそれらは独立していた。しかし雑誌創刊後にTV、新聞等のマスメディアにより観光スポットと紹介され、谷根千地域のディズニーランド化、不動産開発による閉鎖的コミュニティの出現など非オーセンティックな観光空間に変質していった。その後、非オーセンティックであると考えられていた芸術と下町文かの融合が谷根千らしさとして地域住民、観光客、メディアに認知され新たなオーセンティシティを獲得した。(創発的オーセンティシティ)

先生からはオーセンティシティについての解説や、質的論証に関するアドバイス等がありました。自分はまだ谷根千にいったことはないので、今度宍戸に案内してもらいたいです。


そして今回のゼミには6期の柄澤さんがゲストして参加してくださり、様々なアドバイスを頂くことができました。本当にありがとうございました。幹事を務められる次回のOB会も楽しみにしています!

以上、長くなりましたがここらへんで失礼させていただきます。