7月20日 ゼミ日誌

こんにちは、20期の島です!

最近筋トレと野球観戦に占める時間が多いので、課題が全然進まないのが悩みです。

 

7月20日月曜日のゼミはNS一本と輪読:小熊英二『日本社会のしくみ』終章を行いました。

 

NS

<問題提起>

Go To キャンペーンをこのまま実施すべきか。

 

<YES側>

・観光、航空業界をお得に支援できる。

・収束のタイミングを待つことはできない。

・既に観光業は感染対策などに投資をしてしまっている。(取り消すには遅すぎる)

 

<NO側>

・さらなる感染拡大の引き金になる恐れがある。

・観光、航空業者にとって再拡大すればさらなる損害を被る危険性がある。

・東京都を除外するなど、公平性に欠ける制度だ。

 

今話題のGoToキャンペーンですね!ゼミの中ではYES側が2/3以上で、地方経済(観光業)の活性化の観点からこのようなキャンペーンはやむなし、という意見が多数でした。反対にNO側の意見として、地方における医療体制は都心部ほどは整備されていないため、万が一の感染者数の急激な拡大に対応できないのではないか、重症化患者が増加するのではないだろうかといった懸念がありました。また、ワクチンの開発など収束の見込みが立たないうちにやるべきことなのだろうか?という時期的な妥当性についても疑問が上がり、東京のみを規制することの公平性の議論も出るなど多様な観点から話し合いました。

 

平野先生は、スペイン風邪の際の活動制限をしなかった方が経済の落ち込みは大きかったことを挙げ、自粛した方が経済的にも望ましいこともあるのでは?といった観点を挙げられました。

 

輪読では、引き続き小熊英二さんの『日本社会のしくみ』をやりました。

 

終章 「社会のしくみ」と「正義」のありか

 

問い: 日本社会のしくみを変えるためには何が必要か 。

答え: 雇用における透明性と公開性の向上と社会の人々の合意が必要。

 

この章では、1~8章までの要約であると同時に、それを踏まえた上での著者の考え方が示されていました。

 

結論としては、日本の雇用慣行は日本文化に根付いたものであり、欧米諸国の制度をつまみ食い的に取り入れたところで社会課題が解消されるわけではない。ただし、慣行自体は不変のものではないので、現在の日本社会に特徴的な課題を解決していくには透明性や公開性の向上という改革が効果的で、これによって横断的労働市場や男女平等などが達成されると期待できる、というものでした。(ただ著者は同時に、これが実現されようとも格差問題は解決しないことを指摘していました。)

 

各批評については以下の通りですが、どれも各々の価値観によってこれからの(望ましい)仕組み・社会についての考えが分かれました。

 

・p.572

だが慣行は不変のものではなく、人々が合意すれば、変えることができる。

→日本の慣行はマイノリティーであった女性の意見を無視して生まれた。(p.568)

慣行は全員が合意する形で創出されることはない。マイノリティーがいなくなりつつある現代で、新たな慣行は生まれないのではないか?

 

・p.573

透明性と公開性を向上させれば、男女平等や横断的労働市場を阻害していた要因は、除去されやすくなるだろう。

→評価する人間や基準を作る際には主観が少なからず入る。それでは問題解決には繋がらないが、その対策が不十分である。

 

・p.573「過去の改革が失敗したのは、透明性や公開性を向上させないまま、職務給や「成果主義」を導入しようとしたからである。」

→確かに透明性や公開性は一因ではあるが、もっと根本的な問題があったのではないだろうか。雇用制度だけでなく、教育や福祉制度も変化させなければ、労働者の合意を得ることはできないのではないだろうか。

 

・p.575「二〇世紀の諸運動で達成された成果がしだいに失われ、十九世紀の「野蛮な自由労働市場」に近づいている傾向は、世界的に見られる」

→果たしてそうなのだろうか?日本や世界でも労働者の立場を保護するような法律が成立している以上、19世紀と同じような労働環境に戻ることがあるのだろうか?戻ったとしても、19世紀よりもグローバルに野蛮な自由労働市場が展開されるのではないだろうか。

 

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ちなみに、著者が最後に提示した

 

①年齢や家族背景を考慮した賃金形態の社会にすべき

同一労働同一賃金でキャリアアップを促進する社会にすべき

同一労働同一賃金で、拡大した格差は財源で補償される社会であるべき

 

という3つの観点だと皆さんどの観点を取られるでしょうか?

 

個人的には各々が向上心を持った社会がよりよい社会を形作るといった観点から②の立場をとっています。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!

今回で前期のゼミは終了なので、卒論の完成を急ぎたいと思います笑